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高森明勅
2010.7.24 12:30

最高裁、当たり前の「合憲」判決!

7月22日、白山比咩(しらやまひめ)神社奉賛会市長参列訴訟の最高裁判決が下った。

新聞各紙が報じたので、記事に目を止めた方もいるだろう。

報道の扱いはどこも小さかったものの、重大な意義を担うので、簡単にコメントしておく。

これは地元白山市の住民に長年にわたって親しまれ、また観光の目玉ともなって来た白山比咩神社鎮座2100年(!)記念の大祭に向け、同大祭の奉賛会が発足するにあたり、市内の一般施設で開かれた発会式に市長が参列し、祝辞を述べたのは憲法に定める「政教分離」に違反すると訴えた訴訟。

高裁では違憲判決が下りていた。

こんなことまで違憲とされたら全国で大混乱が起こるだろう。

裁判官はどれだけ知っているか分からないが、各地の町おこし村おこしの中心や主な観光資源が、伝統ある神社や寺院であるケースは、決して少なくない。

地元の首長がそうした神社や寺院などと接点を持つことは、別にそれらを信仰面で特別扱いしたり、宗教施設としてもり立てようとするものではない。

住民多数の要望に応え、地域振興の一助として行うことで、首長として当然の務めと言える。

にもかかわらず、裁判所が一握りの者の偏った宗教観に依拠して、それらを一切締め出すことは、住民の利益に奉仕すべき行政の機能を阻害し、人々の自然な習俗に権力的に介入することにもなろう。

このたび最高裁は「市長としての社会的儀礼を尽くす…儀礼的行為の範囲にとどまる」として合憲の判断を下した。

当然の判決ながら、影響の大きな訴訟だっただけに、安堵した。

だが政教関係では、まだ靖国神社を標的とした訴訟が、地裁、高裁、最高裁で複数、係争中だ。

油断はできない。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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